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「普通のくらし」に備える
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かけがえのない児童期

 障害を持つ、持たないにかかわらず、全てのおとなは人格形成のうえでかけがえのない幼児期・児童期を生きてきます。この時期の過ごし方がどうであったかによって、「普通のくらし」に対する適応性が決まると言っても過言ではないでしょう。

 障害を持つ子ども、とりわけ知恵おくれの子どもにとって、この時期にしっかりとした生活習慣と人とのかかわりを持つことは、健常児以上に大切ですが、残念ながら目先の障害だけに目を向ける親が多く、子どもの将来を見越した教育(療育)計画を持つ親はまだまだ少ないと言わざるをえません。

 障害を持って生まれたことをふびんに思い、親や周りの家族が手をかけ過ぎるのはかえって子どもの発達を奪うことになります。このしわ寄せは中学生になって表れることが多く、私の所属する通勤寮の親施設である児童入所施設が実施している短期療育の利用状況を見ると、圧倒的に在宅から養護学校中学部に通う子供が多く見られます。

 その親たちの話を聞きますと「この子は何もできない子だから家族が協力して全て面倒を見てきました」とか、「小学生までは素直で良い子でしたのに」といった声が聞かれ、どの親もわがままに育って親の言うことを聞かなくなってしまった大きなヒナにとまどっている様子です。

 私はそのたびに「なぜもっと早く施設を利用しなかったのか。大切な児童期は戻ってこないのに」などと心の中で思うのですが、ある母親は「私は施設を利用して、早いうちに身辺自立やしつけの訓練を受けさせようと思ったのですが、おばあちゃんが施設に入れるなんてふびんだと言って反対しているうちに今になってしまいました」と話してます。

 ふびんだと思われてしまう施設のあり方にも問題がありますが、今、児童入所施設では従来の養護に欠ける子どもたちのための施設機能のほかに、障害を乗り越えて社会に適応していくための訓練機関として、積極的な施設利用に向けて新しい取り組みが検討されており、一部の先駆的な施設では、子どもたちの生活の拠点を家庭に置いたうえで、有目的・有期限の短期入所や、家族に対する療育相談を実施しているところも見られるようになりました。

 施設をホームドクター的な身近な資源として、在宅障害児者や家族の皆さんが利用できる日もそう遠くはないと思います。

 そのためにも、親の皆さんは「今、この子の発達にとって何が必要か」というものさしを忘れずに持っていてください。そして、これから増加するであろう福祉サービスの選択肢の中で、親の決断が子どもの将来を左右するということも‥‥。


発行日:1990年(平成2年)5月
掲載誌:「手をつなぐ親たち(現・手をつなぐ)」
発行元:全日本手をつなぐ育成会