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知的障害児・者入所施設をどう変えるのか
入所施設の役目は終わるのか
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入所施設の役目は終わるのか

 現在、知的障害児者入所施設で暮らす人は112,600人。ほとんどの人が、施設に入所する前は家庭・地域で暮らしていたはずである。しかし、さまざまなバリアによりそれを維持することが困難になり施設で暮らしている。ある人は課題の改善に見通しを立てて入所施設の生活機能を有効に活用しているだろうし、また、ある人は見通しの立たないまま入所施設を終の棲家とする人もいる。

 考えなければならないのは、その暮らしを本人自身が希望しているのか、本人の意思よりも周囲の都合や価値観で人生が決められていないかということである。入所施設が自立生活に向けた課題解決の援助力を持ち、地域の中に信頼できる生活支援の資源が整えば、入所施設で暮らしつづけることを希望する人は半減するだろう。

 施設の実情を知る人たちは、管理性が強く障害者だけで長期にわたり集団生活する施設の暮らしが、それだけで行動障害を助長してしまうことを知っているはずである。

 毎年、入所更生施設の退所者が0.5%前後であることは、厳しい見方をすれば施設による訓練・指導の効果はこの程度かと考えざるを得ない。障害がよほど重篤なのか、援助スタッフが未熟なのか、はたまた、施設の安定経営のために出られる人をも出さないのか。施設入所に際して、多額の寄付金を要求する成人施設が後を絶たないことも由々しき事態である。寄付金を払った親は、終生保護の権利を買ったに等しい。こうした施設からの地域移行は絶望的だろう。

 切羽詰った親の弱みに乗ずる寄付金の要請は許されないばかりか、経済的に寄付金が出せない親や長期入所を希望しない当事者は対象から外され、施設の公共性からみても問題がある。安全や信頼を提供するはずの施設が虐待問題や年金問題を起こしてしまうことを含め、社会に対してどう説明すればよいのだろうか。

 地域生活への移行が政策として打ち出された今、なおも入所施設に求められるものがあるとすれば、それは何か。

 施設には障害のある人たちの暮らしを社会化する義務がある。家庭や学校、地域が支える力にも限界がある。生活機能をもつ施設には、それらをコーディネートすることにより入所時点で地域生活に軸足を置き、コミュニケーション障害のある人たちの自立に向けた援助技術の専門性をもとに、人生の質を高める計画的な個別支援が求められるだろう。

 そのとき入所施設である必然性は、1日、1週間、1ヶ月といった連続性の中で本人を理解し、環境との調和をとりながら経験による自立生活の選択肢を増やすことにある。適度な環境変化を取り入れながら施設や親から独立していくためにも、グループホームに似た施設外の自活訓練事業は効果的な支援形態となるだろう。

 これからの施設支援のスタンスは、入所施設、通所施設を問わず、施設の価値観だけに頼る障害者だけの閉ざされた支援環境から脱皮し、地域社会の中に交わることで本人、家族、地域社会、援助者が相互変容をめざすことにある。入所施設の役目が終わったとは思えない。問われているのは施設のあり方であり、地域生活を支える総合的な援助力である。


発行日:2001年(平成13年)9月20日
掲載誌:「療育の窓」118号
発行元:全国心身障害児福祉財団