学園創立40年を迎えた1993年10月23日。学園運動場の特設ステージで「野外ミュージカル・星の王子さま」が上演されました。オープニングとフィナーレには、子どもたちも合唱で参加。当日は急遽カイロを売ることになったほど寒い日でしたが、1,300人の観客は暖かい感動に包まれていました。

〜公演パンフレットより〜
  

ようこそ『星の王子さま』

岩崎学園・園長 松下良紀

 知的なハンディをもつ子どもたちの発達援助とファミリーサポートの拠点として、岩崎学園が葦毛湿原のふところに誕生して40年。この機会にあたり、日頃の感謝をこめ、新たな出会いと感動の野外ミュージカル『星の王子さま』をお贈りします。
 私と王子さまの出会いは、10年ほど前に『星の王子さま』の愛読者から本を贈られたことに始まります。当時の私は、読んではみたものの正直いって、単に教示的な童話としてしか受けとめませんでした。今から思えば、年のわりには妙に老成した大人の心境で、王子さまが訪れた六つの星の住人達のように、融通の利かない大人の世界にいたのかも知れません。「大きな船は急に曲がれない」と話す私に、「なぜ」の疑問符を送り続けた本の送り主によって、私は大人と少年の間をいきつ戻りつしながら脱皮していったような気がします。
 時は流れ昨年の秋、東京演劇集団「風」の人達との出会いがあり、忘れかけていた『星の王子さま』が再び脳裏に浮かび上がってきました。土の香りがする「風」の人達と話が進むにつれ、私はどうしても自分が生まれ育ったこの地で、星空のもとに王子さまを呼んでみたくなりました。そして、この感動を多くの人と分かち合うために、岩崎学園の子どもたちと共に、日頃から交流の深い東陽中学の生徒の皆さんと手筒花火の伝承に夢を馳せる小鷹野西友会の皆さんの出演をお願いし、平成5年度豊橋市文化祭協賛事業としてユニークな形でサン=テグジュペリからのメッセージをお届けすることがかなった訳です。キツネが王子さまに言いました。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」
 世の中には、外面だけの印象で誤解されている人がたくさんいます。知的なハンディを持つ人達の多くも、様々な誤解のなかで暮らしています。お互いを「心で見よう」としたならば、新たな出会いが生まれることでしょう。そしてまた、王子さまとバラのように、かけがえのない存在に気づくかもしれません。何故ならば障害者である前に同じ人間なのだから。
 「住みよい町」全国15位にランクされた豊橋の市民が、心の面でもさらに優しさを増し、世代の違いやハンディの有無を超え、誰もが「豊橋に住んでよかった」と感ずるときがくることを願って『星の王子さま』を迎えます。